聖の青春
聖の青春という小説をご存じだろうか?昔読んで泣けた本である。最初にこの本に出会ったのは、漫画本「聖ー天才羽生が恐れた男ー」だった。1999年発売で全9巻。羽生世代の天才将棋棋士だった。彼の生涯を綴ったノンフィクション物語である。
小児が患うネフローゼに罹患、子供の頃から小児病棟で将棋をして遊んでいた村山聖が頭角を現し、小学5年生の時の全国大会で、佐藤康光や羽生善治と出会う。後のライバル達である。奨励会試験を受験、四段昇進、プロデューを果たすまでの道のり、そして羽生善治との対局。しかし、29歳の若さでその命は尽きた。
2001年には村山聖のドキュメンタリーが放送されている。2002年に小説「聖の青春」が発売され、今回、その「聖の青春」が映画化される。
奨励会(新進棋士奨励会)
奨励会は、日本将棋連盟のプロ棋士の養成機関である。関東奨励会と関西奨励会とがあり、年に1回の入試試験がある。入試試験の受験条件は師匠(プロの騎士)より推薦された者で、受験者同士の対局に勝利した者が二次試験に進む。二次試験は奨励会員との対局、筆記試験、面接がある。奨励会は6級から三段までで構成され、規定の成績を上げると昇格できる。
将棋のプロ棋士への道
奨励会の入会試験に合格し、満23歳までに初段、満26歳までに四段に昇格しなければ、奨励会を退会しなければならない。四段への昇格条件は厳しく、三段リーグで、2位以上にならなければならない。三段リーグは年に2回、半年単位で行われる。つまりプロになれるのは年に4名のみだ。
アマチュアからプロへ編入する方法もあるが、過去2人(瀬川晶司五段と花村元司九段)だけだ。10勝以上、勝率が6割5分という規定を果たせば推薦を受けられ、プロ棋士との対局で5対局中3勝すればプロに昇格できる。
どちらにして、プロ棋士へ昇格は狭き門だ。
村山聖のエピソード
師匠 森信雄
聖は師匠 森信雄と同居して暮らすが、「どちらが師匠かわからない」と言われる程、森は聖の面倒をみていた。
独特の風貌
髪の毛や爪にも命があると切ることを拒み、ネフローゼによる浮腫も相まって、独特の風貌をしていた。
奨励会入会からプロ棋士になるまで2年11ヵ月
奨励会入会からプロ棋士になるまで2年11ヵ月という速さは、谷川浩司や羽生善治を超える異例のスピードであり、「怪童丸」と呼ばれた。
終盤は村山に聞け
終盤から詰めに至るまでの読みは天才的であった。そのエピソードがある。
A級順位戦の対局を関西将棋会館の控え室で検討していた時、詰将棋作家の内藤國雄が入室してきて
「駒(持駒)はぎょうさんある。詰んどるやろ。」と言う。棋士達が一斉に詰み手順を検討し始めたところ、「村山くんが詰まんと言っています。」という声が上がる。後に内藤は「詰みを発見しようという雰囲気の中で『詰まない』と発言するというのは相当な実力と自信」と賞賛。
東の羽生、西の村山
羽生善治、佐藤康光、森内俊之、村山聖は羽生世代と言われ、「東の羽生、西の村山」と期待された。
村山聖
1986年 プロデビュー
1989年 若獅子戦決勝 羽生に敗れる
1990年 若獅子戦決勝 佐藤康光を破り棋戦初優勝
1992年 第42期王将戦の挑戦者となり、谷川浩司王将との七番勝負で0勝4敗
1996年 A級八段に昇進
1996年 第30回早指し将棋選手権 優勝
1997年 竜王戦1組1回戦 羽生善治と対戦 勝利
1997年 NHK杯 決勝 羽生善治と対戦 敗退
1998年 日本将棋連盟は功績を讃え、逝去翌日の8月9日付けで九段を追贈
若獅子戦(1977年~1991年)
1若手プロの公式棋戦で、プロ棋士の若手から13人を選抜し行われていた若手の登竜門といえる棋戦であった。1977年~1991年まで行われていた。
年 | 優勝者 | 準優勝者 |
---|---|---|
1989年 | 羽生善治五段 | 村山聖五段 |
1990年 | 村山聖五段 | 佐藤康光五段 |
1991年 | 先崎学五段 | 村山聖五段 |
王将戦
全棋士、一次予選・二次予選をトーナメントで行い、二次予選勝ち上がり3名とシード棋士4名でリーグ戦(挑戦者決定リーグ)を行う。リーグ戦優勝者が、王将戦の挑戦者となり、七番勝負で決着を着ける。挑戦者決定リーグの上位4名が次年度の挑戦者決定リーグ・シード棋士となる。
年 | 王将 | 挑戦者 | 勝ち |
---|---|---|---|
1992年 | 南芳一 | 谷川浩司 | 谷川浩司 |
1993年 | 谷川浩司 | 村山聖 | 谷川浩司 |
1994年 | 谷川浩司 | 中原誠 | 谷川浩司 |
1995年 | 谷川浩司 | 羽生善治 | 谷川浩司 |
1996年 | 谷川浩司 | 羽生善治 | 羽生善治 |
1997年 | 羽生善治 | 谷川浩司 | 羽生善治 |
1998年 | 羽生善治 | 佐藤康光 | 羽生善治 |
1997年~2000年、2006年~2009年の間、羽生善治が王将位の位を保持していて、永世王将の資格を持つ。永世王将の称号には通算10期以上保持しなければならない。
順位戦クラス
棋士の在籍クラスの一つである。他、竜王戦の組のシステムがある。
A級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5つがあり、A級の優勝者だけ名人挑戦権を得る。したがって、順位戦初参加から名人挑戦までには少なくとも5年かかる。
クラス | 定員 | 昇格降格 | クラス | 定員 | 昇格降格 |
---|---|---|---|---|---|
名人 | 1名 | A級 | 10名 | 2名入替え | |
B級1組 | 13名 | 2名入替え | B級2組 | ― | C級1組から2名昇格 |
C級1組 | ― | C級2組から3名昇格 | C級2組 | ― |
B級2組、C級1組2組からの降格は、1期(1年)の成績不振で降格しない。
聖ー天才羽生が恐れた男ー
1999年~全9巻
商品名→聖-天才・羽生が恐れた男- 全9巻完結(ビッグコミックス) マーケットプレイス コミックセット
聖の青春
2000年 著者 大崎善生
商品名→聖の青春 (角川文庫)
聖の青春 映画化
村山聖役を松山ケンイチ、羽生善治役を東出昌大、ネフローゼという病に罹患し全身浮腫だった聖の役を演じるために、松山ケンイチは
体重を増やし挑んでいる。村上聖役はとても難しい役だと思うが、松山ケンイチさんならばやってくれそうな気がする。
主題歌は秦基博の終わりのない空