TENET の順行と逆行
映画は順行と逆行がひとつの場面で交差しながら進んで行く。タイムトラベルではない逆行という不思議な場面を表現した映画です。
- ひとつの点で順行と逆行の交差する
- ひとつの場面で順行の人物と逆行している人物が存在する
- 同じ人物が存在する
ひとつひとつの場面の謎を私なりに解いていきたいと思います。
映画「TENET」
監督・脚本・制作 | クリストファー・ノーラン |
公開 | 2020年 |
クリストファー・ノーランはイギリス出身の映画監督・脚本家・映画プロデューサー。
宇宙と地球の時間経過や5次元を描いた「インターステラー」、夢と現実、時間の経過を描いた「インセプション」など時間にまつわる難解な映画を制作している。
「TENET」の疑問
難解な映画ですが、何度か同じシーンを目にするので、意外にもわかりやすいかもしれません。タイムスリップとは違うので、過去に戻るというよりは過去に進むという感じでしょうか。
青と赤につい
- 赤 順行
- 青 逆行
順行 | 逆行 | |
---|---|---|
スタリスク12 | 赤い腕章 | 青い腕章 |
キャサリンが撃たれた場所 | 赤い部屋 | 青い部屋 |
※セイターは青い部屋で順行でした。(理由は後に記載)
アルゴリズム
- アルゴリズムは世界全体を逆行させ、地球上の生物は一瞬で消える未来の武器
未来の科学者がプルトニウム241、アルゴリズムを開発。
アルゴリズは9つにわかれており、未来人がその9つの兵器を現在の核の保管施設に隠した。9つ兵器を見つけて組み立てる者として選ばれたのがセイターであった。
- プルトニウム241が最後の1つである
過去を変えたらどうなるのか?
- 主人公「過去を変えたらどうなる?」
- ニール「過去を変えたら、結果を知る場には居ない。」
パラレルワールドでは多元現実の世界を知ることはできない。
祖父殺しのパラドックス
- 主人公「先祖を殺したら、未来人はどうなるのか?」
- ニール「わからない。しかし未来は更新している。」
挟撃作戦
時間の前と後ろからの挟み撃ち。半分は順行で追いかけ、逆行の情報を得ながら戦う。
プルトニウム241の移送を主人公が奪う計画中に、セイターが追ってきたのは逆行で情報を得ていたから。つまり挟撃作戦。
逆行のお約束
出口に自分の姿が見えなかったら回転ドアに入らない(出られなくなる)
映画の中では、必ず逆行または順行している自分を確認して回転ドアに入っている。
逆行中は肺に酸素が通らないから酸素マスクが必要
つまり酸素マスクを着けていない時は順行中である。逆行で過去に戻り、回転ドアで順行に戻す。(キャサリンがセイターの自殺を食い止める場面は逆行して順行に戻してなければ成り立たない)
周りが反対に動いているように見える
逆行から見ても、順行は反対に動いているように見える。
その他の逆行のお約束
- 未来の自分とは直に接触しないこと(お互いの粒子がぶつかれば水消滅)
- 走れば風は後ろから
- 炎に包まれると熱の反転で氷に包まれる
主人公のセリフに「やり方を変えたら、別の結果もあり得る?」と話す。ニールは度々「起きたことな仕方ない」と言う。問題解決のために様々な方法が思いつくし、何度も逆再生ができるのならば、幾通りも解決法があると思うが、「起きたことは仕方ない」は映画の作りて側の言葉ように思う。
逆再生の仕組み
未来から送られてきた逆再生する弾を調べている科学者は、核融合によって引き起こされたエントロピーの減少によって逆再生すると分析している。
逆行する弾は落とすと手の中に戻る
- 順行から見ると逆再生
- 弾は逆行している
TENET 逆行を順行に戻すためオスロ空港へ
キャサリンの命(3時間持たない)を助けるために逆行し、オスロ空港の保管庫で順行に戻す作戦。
オスロ空港の保管庫での争い
- 逆行する弾の捜索で保管庫に入った主人公①とニール①
- 順行に戻るために保管庫に入った主人公②とニール②とキャサリン
この場面では主人公が2人とニールが2人存在する
逆行から順行へ(主人公②側の経過)
- 逆行でオスロ空港の爆発まで戻る
- 逆行の主人公②と主人公①が掴み合う
- 逆行の主人公②がオスロ空港の回転ドアで順行になる
- 順行になった主人公②がニール①と掴み合う
- 順行になった主人公②をニール①が逃がす
- 順行になった主人公②が救急車を奪う
- 逆行のニール②とキャサリンが回転ドアで順行になる
- 順行になったニール②とキャサリンが救急車に乗る
TENET 挟撃作戦 スタリスク12
スタリスク12では味方も敵も順行と逆行の兵士が存在する。
- 赤 順行(逆行の情報を得て行動)主人公
- 青 逆行(敵の情報を得る)ニール
赤は10分後の0、青はその反対に時計をセットし実行。
- 赤 10分後に爆発
- 青 10分後に着陸地点に到着
青から見ると、赤が逆行に見える
アイヴス隊の任務は爆発解除を失敗して爆発させることが任務で、別ユニット(主人公とアイヴス)が敵に気付かれず任務を遂行すること。
主人公とニールの挟撃作戦の詳細
デッドマンズスイッチ(スマートウォッチ)心臓が止まると、アルゴリズムが起動して世界が終わる。
セイターが自殺する前にアルゴリズムを奪う計画。キャサリンは合図するまで、センターを死なせないこと。
ニール側からの経過(10分後から逆行し途中順行へ)
- 爆発地点(0地点)に倒れているニール
- 起き上がり鍵を開ける
- トンネルを戻る
- トンネルの入口に爆発物を仕掛ける敵を見つけるニール
- 回転ドアで順行になるニール
- 入口に向かう主人公らを車で追いクラクションを鳴らすが間に合わず
- 牽引ロープを0地点へ投げ入れる
- 爆発と同時に車で主人公らを引き上げる
主人公らからの経過(10分間順行)
- トンネルの入口に向かう
- トンネルの入口が爆発する(順行ニールが追いかけるが間に合わず)
- 主人公らはゲートの鍵を開けることができない
- ゲートの内にニール(逆行)が倒れている
- ニール(逆行)が起き上がる
- 主人公らが敵を倒しアルゴリズムを手に入れる
- 牽引ロープが投げ入れられる
- 爆発と同時に引っ張り上げられる
- 最後に着陸地点に戻った青の腕章の兵士はニールではなかったのか?
お顔を確認できなかったのですが、もし最後に戻った青の腕章の兵士がニールだとしたら、あの場所にニールは2人いることになります。しかしこの場合、ニールが2人いなくても成り立つのでニールは1人としました。
TENET プルトニウム241奪還
- セイターの挟撃作戦と主人公の挟撃作戦が交差する
ウクライナ保安庁が持っているプルトニウム241を放射性物質長期保管施設に移送中に奪う計画。計画実行中にセイターが逆行で追ってくる。
BMWの主人公(順行)からの経過
- プルトニウム241を奪還
- セイター(逆行)が追ってくる(キャサリンは順行)
- 主人公②(逆行)の車を利用しケースを渡す
- キャサリンを助ける
- セイターの手下(順行)に捕まる
何故、セイターに情報が漏れたのか?(逆行の情報が順行へ渡る)
- 捕まった主人公から逆行したセイターが聞き出し、逆行で主人公の車(BMW)を追った。
プルトニウム241を奪うセイターの挟撃作戦
セイターの部下 | 順行 |
セイター | キャサリン(順行)を連れて逆行 |
逆行したセイターの経過(青の部屋の回転ドアから逆行)
- 逆行したセイターはキャサリン(順行)を連れてBMWを追う
- ケースを奪う(順行の主人公から投げ入れられる)
- 逆行の主人公の車を横転させ、火を放つ
逆行した主人公の経過(キャサリンが撃たれた後から)
キャサリンが負傷した後、主人公はセイターを追う。
- プルトニウム241はBMWにあると嘘をつく
- 回転ドアで逆行となる
- シルバーの車でセイター(逆行)を追う
- 不安定な運転で、シルバーの車にあったプルトニウム241がBMWへ飛ぶ
- セイター(逆行)に車を横転させられ、火を点けられる
- ニールに助けられる
- 順行に戻るためにオスロ空港へ
捕まったキャサリンと主人公とセイターのやり取り
交渉する主人公とセイターは順行。
主人公 | 順行 |
セイター | 順行 |
キャサリン | 逆行 |
順行に進んで行く中で、逆再生の場面があります。
逆再生の場面
- セイターがマスクを着けたキャサリンと青い部屋に入る場面は主人公から見た逆再生
- 青い部屋に入ってきたセイターは逆再生を見る
- 赤い部屋 順行の部屋
- 青い部屋 逆行の部屋
キャサリンもアイビスの部隊も青い部屋ではマスクをしているが、青い部屋にいるセイターはマスクをしていないので順行。
セイター①の経過(赤い部屋)
- セイター①赤い部屋に入る
- 「プルトニウム241はどこだ」主人公「もう話した」
- 青い部屋のセイター①を見る
- アイビスの銃撃戦
- 回転ドアへ
セイター①の経過(逆行の青い部屋)
- セイター①(順行)は青い部屋に入る
- アイビスの銃撃戦
- 「プルトニウム241はどこだ」主人公「BMW」
- キャサリンを撃つ
- セイター①は負傷前のキャサリン(逆行)を連れて回転ドアへ
主人公「どこ行った?」→アイヴス「過去へ」
最初のセイターがマスクを着けたキャサリンと青い部屋に入ってくる場面は、主人公側から見た逆再生。
最後の青い部屋から出て行ったように見えるが、逆行のならば青い部屋へ入ってきたことになる。
セイター②の経過(逆行の青い部屋)
- 青い部屋に入ってくるセイター(順行)
- 逆再生を見る
- キャサリン(逆行)を連れて回転ドアへ
- セイター(逆行)キャサリン(順行)はBMWを逆行で追う
逆再生
順行から見ると逆行は逆再生。
- セイターは1人なのか?
- 逆再生を見たセイターは赤い部屋にいたセイターなのか?
- 逆再生を見たセイターはキャサリンを撃つセイターなのか?
- セイターの手下に捕まる
- セイター(順行)がキャサリン(逆行)と青い部屋に入ってくる(逆再生)
- セイター①がキャサリン(逆行)を撃つ
- セイター①がプルトニウム241の場所を聞き出す→「BMW」
- 赤い部屋にセイター(順行)が入ってくる
- セイターがプルトニウム241の場所を聴く→「もう話した」
- アイヴスの部隊登場
- セイターが回転ドアへ(主人公「どこ行った?」→アイヴス「過去へ」)
- キャサリン(逆行)は負傷している
- セイター(逆行)はキャサリン(順行)を連れて主人公を追う
- セイターの手下は主人公を捕まえる
- セイター(逆行)とキャサリン(順行)は主人公と交渉するため、回転ドアへ
- セイター(順行)とキャサリン(逆行)と主人公が交渉(キャサリンが撃たれる)
順行と逆行がすれ違うのは一瞬だと思います。セイターが主人公(順行)と交渉するためには、セイターは順行でなければなりません。
順行のキャサリンを連れてセイターは逆行したので、セイターは逆行でキャサリンは順行。
その後の主人公とキャサリン(逆行へ)
- 撃たれたキャサリンは3時間もたないと言われる
- ニールとキャサリンは逆行してオスロ空港へ
- 主人公は逆行してセイター(逆行)キャサリン(順行)を追う
主人公とニールの関係
壮大な挟撃作戦
- ニールは未来の主人公に雇われた(主人公の友)未来人
- 作戦の指揮官は未来の主人公
主人公 | CIAエージェント・TENET |
ニール | 未来の主人公に雇われた(主人公の友)未来人・鍵開けの名人 |
ニール「君の未来は過去にある。僕は何年か前君には何年か後だ」「出発地点で会おう」と。ニールはキャサリンの息子だという話もあるが?
9つの核の行方
主人公とアイヴスがお互い知りえない場所へ隠す。
記録
全ての計画は記録に残らない。唯一記録に残したことが、キャサリンの撃たれる直前の音声録音だった。それにより、主人公はキャサリンを助ける。
キャサリンとアレポとセイターとの関係
トマス・アレポの贋作のゴヤの絵をキャサリンが鑑定してセイターが買う。セイターは贋作だと気付いていて、その絵を理由にセイターはキャサリンを束縛していた。
アンドレイ・セイター | 武器商人・未来人から選ばれた者(未来人と金塊で取引) | |
キャサリン・“キャット”・バートン | 絵画の鑑定士 | |
プリヤ・シン | ムンバイの武器商人の妻で黒幕 |
14日(10日前)のセイターの居場所(空白の時間)
ベトナムの船の上にいてヘリで出かけた空白の時間がある
- オペラハウス爆発の日(セイターがプルトニウム241奪おうとする)
- スタリスク12で爆発があった日(スタリスク12挟撃作戦)
- ベトナムの船の上(膵臓癌であるセイターが自ら世界を巻沿いに命を絶とうとする)
TENET の時間逆行のシーン(形跡)
- オペラハウスでニール出現(逆行する弾)
- オスロ空港の保管室(順行する主人公と逆行する主人公)
- 船にヘリで運ばれた金塊が逆行している(セイターがタイムカプセルを埋めてそれを回収すると)
- プルトニウム241奪還場面で無線を傍受で言葉が逆さま
- プルトニウム241奪還場面で逆行セイターの車と逆行主人公の車
- キャノンプレイスにキャサリンの電話により主人公が現れる